コーヒーブレイク

「プログラムは宝物」

第38回(1996年)テンヨーマジックフェスティバルに出演して

1996年9月

会場:三越劇場

中川 清

更新: 2007/10/8


 今年もテンヨーマジックフェスティバルが三越劇場で催された。開幕の時間まで椅子にもたれて、豪華な造りの劇場を見回している時、ふと、このフェスティバルに出演したことを思い出した。今回は第49回であるから、もう十一年も前のことになる。

 その出演依頼は横浜マジカルグループ(YMG)役員の中村さんの仲介によるものだった。テンヨーの鈴木さんがYMGの発表会を見にきて、四人をノミネートし、中村さんにテンヨーマジックフェスティバルへの出演要請をしたことが話の始まりだった。
このフェスティバルの特徴はプロマジシャンとアマチュアマジシャンが共演するところにある。最近ではアマチュアの出演者数が少なくなり、今回は二人になってしまった。それに比べて、われわれが出演した当時はアマチュアの数が多かった。プロが4組でアマチュアが九人であったから隔世の感がある。そういう時代であったからこそ出演できたのかも知れない。もう一つ、当時と変わったことは、昼の部だけであったものが、昼の部と夜の部の二部制になったことである。

 改めてプログラムをみると、YMGの出演者は四つ玉の石崎宏美さん、コインマニプレーションの私、シルクの鈴木正子さん、そしてロープを演じた、今は亡き榊原茂前会長である。そのほかアマチュアでは東京大学奇術愛好会から二名、東洋大学マジシャンズソサエティーから二名、早稲田大学マジッククラブから一名が出演している。

 一方プロは内田貴光、伊藤夢葉、長谷和幸、北見伸&ステファニーが出演、そして司会はダーク広和となっている。
簡単な舞台練習、立ち位置の確認、音楽の確認、司会者との打合せなどいろいろあって、いよいよ開演の時間となる。
開演のブザーがなる。トップバッターの石崎さんが四つ玉を終える。いよいよ自分の番である。胸が高鳴る。舞台中央に立つ。スポットライトが点く。演技の曲として選んだユリシーズの音楽が流れる。 ・・・・・無我夢中の中で演技・・・・ 右手にグラスを掲げてエンディングポーズをする。終わった! 大きな失敗もなく無事に演技を終えた。

 桜模様で風格のある緞帳、重厚で格式のある三越劇場の晴れ舞台、過去には松旭斎天洋、初代引田天功、二代目松旭斎天勝、アダチ龍光、伊藤一葉、ダーク大和など故人となられた多くのプロの方々が出演したという。また、この舞台を登竜門として巣立ったプロたちが大勢いるとのことである。あの島田晴夫もその一人だという。その舞台に立てただけで幸せなことである。私たちはともかく、あの若き学生たちは今頃どうしているだろうか。マジックを続けているだろうか。プロになった人はいないだろうか。
出演記念として、その年にテンヨーが開発したマジック新製品の六点セットを頂いた。いまでもマジック道具の片隅に大事にしまわれている。そして思い出は美化され、そのプログラムは私の大切な宝物となっている。(2007年9月23日 記) 


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