マジック教室の人たちに最初に教えなければならない原則がある。それはサーストンの三原則と言われるものである。
1.奇術を演じる時、あらかじめ演技の内容を説明してはならない。
2.同じ奇術を同じ場所で、同じ観客の前で繰り返して演じてはならない。
3.タネあかしをしてはならない。
これらを要約すれば意外性を大切にしなさいと言うことに尽きる。
この三原則を教えるときに、もうひとつ言葉を添えている。それは「いいお客さんになりましょう」という言葉で、観客になったときの心得である。
いいお客さんとは拍手をしてくれる人であり、「ワァー」とか「凄い」とか反応してくれる人である。
反対によくないお客さんとは無反応の人であり、カードを一枚引いて下さいと演者から頼まれた時に、カードの中ほどから引けばよいのに、一番上とか下のカードを引く人であり、「見えた!」とか「知ってる!」とかの声を発する人である。
『人にしてもらって嬉しかったことは、人にしてあげましょう』という教えをマジックの世界に置き換えたもので、これが「いいお客さんになりましょう」のこころである。
『い
たちマジッククラブ』は二歳のヒヨコのクラブであるけれども最近ミニ発表会をしてチビッコたちから快い反応をもらった。また大勢で歴史のあるクラブの発表
会を鑑賞してきた。そこではいいお客さんになってきた。演者とお客さんの二つの立場を、時間をおかずに体験したことになる。 鑑賞会の時には拍手に加えて、感動を与えてくれた演者には、見送りのロビーで「エールを贈って握手をするんだよ」と助言した。
すると女性たちは「私は三人と握手してきました」、「私も三人としたわよ」と嬉しそうに報告してくれた。
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