コーヒーブレイク

エッセイ『僕のへなちょこマジック日記』

いけじゅん

2010/5/3 更新


■はじめに

 みなさん、こんにちは。 僕は「いけじゅん」と云います。
YMG(横浜マジカルグループ)へは今年の一月に入会した新入生です。

 ちなみに、「花の2009年組」と言うのをご存知でしょうか?

 前年までの話を聞くと新入会員は例年、大体2,3人位だそうで、僕の入った一月には同時に3人入会を しました。 8月も終わり今では新入会員も8人となり、まだまだ増える勢いです。 月2回の例会の後に行う2次会の「ひろせい会」では、マジックを肴にお 酒を傾け色々な話題を繰り広げています。 そこで産まれたのが「花の2009年組」と云う呼び名でして、僕はそのリーダーに任命されました。

 っと云っても何をするかと言うと、51年目を向かえたYMGが新たな一歩を踏み出して行く今年、51 年目の2009年を新人の風で盛り立てて行こうというものです。 まあ、呑んでる席ですので勢いと言うか、押し付けられた感もありますが、そんな話だけで 終わってしまうようなことも、最初にちょっと押してくれる力があれば、コロコロと動き出し形になっていきます。 お陰さまでYMGには押して下さる諸先輩 方が多くおられまして、僕もその気になり、新入生一同と共に新たな一歩を踏み出して行こうと思う所存です。

 人生とは何が起こるか分からないもので、一年前の自分からは全く想像だにしない自分がここにいます。 今回、このような文章を書かして頂ける切っ掛けを 作って下さいましたスティング(中村安夫)さんには本当に感謝いたします。
 マジック初心者の僕が話しの出来るマジックの話は皆無です。 でも、今の僕にしか話せない内容もあるのかなと気付きました。 それは、マジックを始めた 頃に感じた衝撃や思いなどです。 皆さんは何年、何十年も前に通ってきたその道を、今僕は、歩き始めました。 拙い文章ですが、マジックを始めたばかりの ハナタレ小僧の、成長を見守るような温かい気持ちで皆様方には読み流して頂き、ほんのちょっぴり笑って幸せな気持ちに成って頂ければ幸いです。


目次


その12 「YMG 第47回発表会を終えて、新人の感想(5)」 (2010/5/3)

 発表会打ち上げ、二次会での話。

発表会自体の話が飛んじゃった? まあいいでしょう。(いいのか?)

二次会の席でとても印象に残り、自分の心に残った言葉を聴くことが出来たので、最後にその話をしたいと思います。
それは、我らの兄貴ことフォールとさんの言葉です。

二次会の席、まとまった席が取れずテーブルがばらけました。
一つのテーブルに若手5人組が座り、少ししてばーのんさんが席を立つことがありました。
ちょうどその時に遅れてフォールトさんが登場、当然のごとくその空いている席に座り満面の笑みです。
その席は・・・などと言うものは当然誰一人いる訳も無く、その話しに聞き入ります。 なんたって兄貴ですから。

一部の最初に赤いスカーフが中を舞った時は、「決まった!カッコいいー!すてきーあにきー!」っと心の中で歓声を上げたのをその時思い出しました。
もとい。 話が脱線しそうです。

おぼろげな記憶でその言葉を思い出します。
「一年に一度くらいはね、こんな日があってもいいやね。」 
「色々なマジックがあって俺はいいと思う。 その中で、マジックを通して一人の人生に一瞬でも関わることが出来てその人が、一瞬でも輝くことが出来、幸せになれたなら、こんな嬉しいことは無く、とても貴重な経験ができたと俺は思う。」と、笑顔を噛み締めて僕らに話して下さったことが、僕にとって、とても印象的で心に残っています。

アマチュアマジックの社会人クラブとしての一つの答えを、そこに見つけたような気がします。

僕もこれから、そんな経験をして笑顔を噛み締められたらと、夢見て一人拳を握り締めるのでした。

まだ口ばしは黄色いままです。
お尻の蒙古斑もとれませぬ。
やっと最近、ひょっとしたら鳥かもしれないと形だけはそれらしく?
ただし、まだ羽は生えて来ていません。
仕事と両立しながらも、もう少しYMGと言う水辺に留まりたいと思います。
この水が、案外自分に合っているのです。
するときっと何時か、僕にも羽が生えて来るでしょう。
そうしたら、独り立ちして先輩たちの様に発表会の舞台で羽ばたいてみたいと思います。
でも自分が何の鳥だか分かりません。
飛べない鶏だったらどうしよう?
それでも鳥ならまだいいか?

そんなこんなで、へなちょこ新人は思いを新たに、夢を大きく膨らませて、今回の発表会の感想を終わります。。。

PS:
感想になっているのか?
日記は間が空くかもしれませんが、まだまだ続けさせて頂きます。

仙台の山寺さん、エールありがとうございます。
その言葉に答えて今回の文章は書きました。 センキュ!!

(続く)


その1「リハーサル風景(1)」 (2009/9/7)

 先日、YMG主催「テーブルマジックを楽しむ会」のリハーサルが行われた。 本番は8/23 (日)である。 マジック一年生の僕にとって、このリハーサルはとても楽しみにしていた一つです。 

 今年の1月の新年会で、ぽろっくさんと20年ぶり位に再会し、それを切っ掛けにYMGに入会しましたが、ちょうどその時期は、2月のステージマ ジック発表会の準備の時期で、そのリハーサル風景を観る機会に恵まれました。 その風景はとても新鮮で印象的で、とある市場の中にある広い部屋で、それは 繰り広げられていました。 

 部屋の隅では、色とりどりのシルクを変幻自在に操ってる人。 
 ステッキをひたすらフワフワと中に浮かせ操ってる人。 
 親友のぽろっくさんはバケツを片手に、空中からコインを幾つも取り出してバケツに投げ入れているではありませんか。 

 今までに経験したことの無い全く初めての風景と、そこに流れる時間と空気、今でも忘れませ ん。 

 本番を想定して、一人づつ前に出て演技を行います。 ストップウォッチで時間を計り、登場から退場までを皆で注視し、慣れてる人も居れば、緊張がこちら に迄伝わる人、色々な人がいました。 
演技が終わってからが、リハーサルの本番で、意見、指摘事項などさまざまな事が議論されます。 この議論の内容こそが、僕にとってまた一つマジックの面白さを教えてくれることになりました。 

 記憶に残っている印象的なことを上げますと、 

 胸元から突然、真っ赤なシルクを出現させた女性がいました。 この時の指摘事項は本番での衣装の色について質問が上がり、いかに一番効果的な現象に見え るかの「色の対比」についての話でした。 
同じ様に、ある人は出現する色の順番です。 その順番では、変化が観客に分りにくいので、順番を変えてはどうかなどの意見です。 その他、身のこなし方、 持ち方、音楽、観客への思いやりなどの視点で様々な指導が成されていました。  

 僕は建築の設計をやっています。 ぽろっくさんと一緒に建築を勉強していた大昔、一生この仕事で食べて生きたいと、割と早い時期に将来の仕事を決めまし た。今でもその仕事が出来ているのでついていたのでしょう。 そんな僕は全く未知の世界のマジックを、自分の知っている建築と結び付けて理解しようと言う 意識がどこかに働き、そのリハーサル風景を観ていました。 

 「デイテールにこだわる」と言う言い方をします。その細部にこだわって、積上げて出来上がったものは結果として、見る人に何かを訴えます。 「建築が話 しかける」と言う言い方もします。 その出来上がったものが何かを訴えるのです。 その声が聞こえた人は、「いい建物」とか、「なんて派手な建物」とか色 々な意見が出てきます。 一番寂しい建物は、誰にも気づかれない建物で、何も感じず人は通り過ぎてしまいます。 

 マジックも同じような所があるのかなと、僕はそのリハーサル風景を観ていました。 本番のステージでは、そのこだわった結果が見事に現れ、スポットライ トに照らされてキラキラと光り、観客席にいた僕には全員の演技が発する言葉を聴き取りました。 

 ひとつだけ、今思い出したのですが、その時に聞いた声を紹介します。

 新人の青年がロープを使った演技で発した声です。 その青年を最初に見たのは、やはりリハー サルの際で、ロープの出し物を皆の前で演技してくれました。 その際に使用したロープは、岸壁に船を停泊させる際に使用するロープで、綱引き大会で使用す るほど長いものでした(記憶ではそう残っています)。  意気込みを強く受けたのが印象に残っています。 その後リハーサルを行うたびに、諸先輩方の優しい指導のもと少しずつそのロープが短くなり、細く成って いきました。 本番では、皆と同じロープとなりました。 
僕には聞こえました。 本当はあの船を岸壁停泊させるのに使うロープでやりたかったのだろう。 よくぞ今のロープで本番に出た。 そこに来る迄、色々な葛 藤、涙がそこにあったのだろう。 君はひとつ大きくなったのだと声を掛けたかった。 

 さて、話を僕の初リハーサル風景に戻します。 

その2「リハーサル風景(2)」 (2009/9/21)

 さて、僕の始めてのリハーサル風景を少し紹介しましょう。 

先日(8/9日)、行われたYMG主催「テーブルマジックを楽しむ会」のリハーサル。 
時間を前日の夜に戻します。 

 その日迄の僕は、そのリハーサルを結構楽しみにしていました。 本番までまだ日にちがあること。 少し忙しくなった仕事のこと。 1回発表タイムでやっ ていること。 等などが重なり、実感として感じていませんでした。 さすがに前日の夜にもなると、あせってきます。 そんな時の僕は決まって、何か別の用 事を作り、現実逃避する傾向があります。 それでも時計の針は刻々と時を刻みリハーサルの時間が迫ってきます。 
重い腰を上げ、一応明日の演技をやってみますが、何度かやってみても、なんか自信がありません。当たり前です、自信など最初からある訳がないのですから。  と言うより不安ですかね、不安がどんどん大きくなって来るではありませんか。ウッ、潰されそう!・・・ 

 そんな心理状態の中、次に何をするかと言うと、色々と着色したがるのです。 
もうひとつ別のネタをやってみようかな、とか。 この前届いた、ぽっぽ君を紹介してみようかな。 等です。 

 実を言うと前日は2時間位の睡眠でリハーサルに行きました。 何をしていたかと言うと、実際に演技した内容以外のことが殆どです。

・・・・「君の名前は何にしよう?」

「ぽっぽ君でいいかな。 ぽろっくさんみたいでいやかな?」 
「蝶ネクタイが似合うんじゃないかな? じゃあ、おそろいにしようか?」 
夏ばてなのか、すぐひっくり返ってしまう。 ポテ。
「ならば、心臓マッサージを、ムニュ、ムニュ。」 
大体これで、前日2時間は一人でやっていた。・・・・ 

 次にもうひとネタ。 よし、と創作活動に勤しむ。 これで大体3時間。 
何が楽しいかと言うと、この時間が今の僕には一番楽しい時間である。 マジックには色々なジャンルや演技、考え方、楽しみ方があり、それには決まりはな い。 いかに楽しんで、人を楽しませるか。 そこに少しの個々のこだわりを足して、また楽しむ。 それを教えてくれたのも、ぽろっくさんでその言葉を信じ 楽しんでいる。 

 場所はリハーサル会場。 9:30集合。 
都合で30分ばかし遅刻してしまった。 ぽろっくさんは急な仕事で欠席。 せっちゃんさんは少し遅刻。 
皆、僕にメールをくれた。 その本人が今遅刻して向かっている最中なのに・・・。 
会場に着くと、ばーのんさんとせっちゃんさんは既に到着していた。 ちょうど最初のグループの演技が始まりだした所で観ることが出来たが、そのテーブル、 客席の位置関係を見て、思わず「ちか!」。 本番もこの距離で周りを椅子が囲うのか、思わずばーのんさんに訊ねた。 あっさり「そうだよ。」の答 え・・・ふーー。 

 演技が終わり、「さあどうぞ」の声と共に皆が意見を交わしだす。  おーーーこの風景。
前に見たこの風景。 
 ただし、依然とは少し違う印象を受けた。 以前は指導して下さる人が数名になっていたようだが、僕の印象では今回、皆が思ったことを発言し、以前より活 気付いたように思われる。 

 今度はその意見の内容である。 相変わらず細かい。 聞いているとどんどん緊張が高まってきた。 
僕の順番は、サロングループの次の第二グループの3番目である。 予定では昼を挟んでの午後になりそうである。 演者も何人か過ぎると、意見もますます活 発に発言されていく。 
既にこの時点で、前日に創作したネタはあきらめ、せめてぽっぽ君だけでも紹介しようと決めていた。 
ばーのんさんに、こっそりぽっぽ君を紹介したが、「本番じゃ多分そんな余裕無いよ。」と冷たいアドバイス。 
午後の予定が、サロングループ迄の演技が早めに終わり、「どうでしょう、皆さんが良ければこのまま次のグループに演技してもらい、それから休憩として は?」の問いかけに皆が賛成。 この時点でぽっぽ君はどこかに吹っ飛んだ。 後3番目に自分の番が来る。 ばーのんさんのアドバイスは当っていた。  もうひとつアドバイスを受けていたことが気になった。「YMGは新人には厳しいよ。」と冗談交じりで言われたが、このあと現実のものとなるとは、この時の 自分はまだ気づいていない。 

その3「リハーサル風景(3)」 (2009/9/28)

 グループ5人、前に出て挨拶をし最初の人から演技が始まった。 この時点で手には汗、一応 考えたセリフも既に飛んでいる。 せめて最初のネタだけでも決 めたいと、カードを握り最初の手順を練習。 いつもと違う、手の汗が尋常ではない。
このまま「ほら、手からこんなに水がでまーす」とこれを演じようかと一瞬思った。
嘘です、そんな余裕など全くありません。 前の人が終わった。 来た来た来た、ついに来た。 
 僕はみんなの前に出て、取り敢えず自己紹介と挨拶をした。 
ここで本当は、ロープを1本片手に持って、颯爽と登場し正面を向き、そのロープを両手に持ち替え高々と持ち上げてお辞儀する。 するとどこからともなく拍 手が沸いてくる。 これは、合宿で唯一覚えたロープの使い方だが、そんなことは、この空気の中で出来る訳がなく立っているのが精一杯であっ た。 

 次にBGMを流した。 曲はシンディ・ローパー の「Time After Time」でアコースティックギターのみ、これを携帯で小さく流した。 これで小さなこちらの空気を作り、その世界に皆を誘おうとの狙いだったが、後でこ れも失敗だったことに気づくことになろうとは。 

 一つ目のネタが終わり、次のネタ、そして同 じ道具を使い別のネタ、一応自分なりにテーマを決めて、3つのネタを行った。 道具の片付けと退場するまでが演技で、時間を計ってもらっている。  

 片付けのことなど全く考えていなかった僕は、なんとも段取りが悪く不細工であった。
一通りの演技が終わり、時間が発表された。 7分50秒。 一番長かった。 大体5分位にまとめるのが目標である。 

 この演技が終わってから、「さあどうぞ」の声。 皆から意見が上がった。 実を言うと、このとき既に頭の中は真っ白で、この時に言われたことは脳みそで はなく、心の高鳴りで記憶している。 

 何とか思い出し、次の最終リハーサルには改善したいものである。 

 新人が指摘される内容として、将来できるであろう後輩たちのために、幾つか書き残しておきたいと思う。 

@ 道具の出し方、しまい方。 またそれを行うタイミング。 
   ・・・・今回僕は何も考えていませんでした。 

A テーブルマジックでの観客にお手伝いしてもらう場合の方法と、返すタイミング。 
   ・・・・今回は観客に手伝って頂きましたが、本番では怖がって避けようとしていましたが、的確にアドバイスして頂き、本番でも観客にお手伝いして頂 く事に決めました。 

B BGMは中止。 中には耳障りとの厳しい意見も出まして、思惑とは大はずれで大失敗でした。 

C 演技している本人が思っていることと、観客で見ている方とでは全く違うと言うことを学んだ。 
   ・・・・自分の中では、これをやりたいと思って考えたネタを最後に据えて、それを行いたいがために、別のネタを補足的に考えたのですが、補足で考え たネタが一番不思議と言われ、メインのネタは、無くても良いのではと、これまた厳しい意見で少し涙。 


 やはり自分ひとりの二つの目玉だけでは視野が狭いですね。 色々な人の意見を聞いて、視野を広げたいと思います。 

 今回、そんな色々な意見の中、僕にとってとても印象的で、的確に自分のことを見ていて下さった意見がありました。 それはIKKIさんの意見でした。  危うく最後のネタが消失するのを防いでくれて心から感謝しています。 今日お礼を言い、マイミクにして頂きました。 

 この後、他の人の演技が続きましたが、放心状態の僕は余り覚えていません。 
全てが終わり帰る途中、桜木町で反省会を開きました。 メンバーはYMGの重鎮ばかり、こんな機会は大切にしたい僕はもちろん参加。 この時の生ビールは 旨かったです。 
例会やひろせい会でも、あまり話せないYMGの人たちの話しも一杯聞けて、とても楽しかったです。 

 そうそう、ここで僕は決意表明をしました。 
「僕は新人賞を狙っています。」と、そんな賞は無いのだけれど意気込みです。 
すると強敵の存在に気づきました。 同時に入会した女性の「山ピー」です。
初めて「山ピー」と言ってみました。 あの場慣れした風格、あの山ピースマイル。 隙がありません。 

 あと、反省会の席で偶然ハトの話しになったので、ここぞとばかりにぽっぽ君を紹介しました。 
スティングさんは昔、ハト出しをやっていたそうで、今度教えて下さると言ってくれました。 今から楽しみです。 

そんなこんなで、へなちょこ一年生のマジック初リハーサルは無事終了したのでありました。 

マジックも楽しいけれど、それを切っ掛けに、つながっていく人との触合いも、いいものですね・・・(^_^)

その4「夢のデビュー直前・・・ 新人の思い」 (2009/10/12)

 さて、テーブルマジックを楽しむ会(TM会)、本番(2009年8月23日(日))がいよ いよ来てしまいました。
あれから一月余りが過ぎ、改めてあの時の思いを書いてみたいと思います。

 何処から振り返ろうか・・・、そう、本番3日前の木曜日。 この日はYMGの例会である。 内容はTM会の最終リハーサルで、僕もここで最後のリハーサ ルを行いました。

 前回ほどの緊張感は無く演技は出来ましたが、掌から噴き出す異常なまでの汗は変わりません。
先日のリハで指摘を受けた内容で、道具を出してから片付けるまでが演技時間であり、予定をかなりオーバーしていた僕は、その段取りの悪さを解消することに 努めました。 道具を出す鞄も、他の方のを参考に小さな紙袋を100円ショップで買いました。 出しやすく、しまいやすいものと考えた時、口が大きく開く 紙の手提げ袋がやはりベストと判断したからです。 紙袋の色についても店先で悩みました。 可愛いものが幾つも吊り下がっています。

 ・・・・ポワポワポワ。 (頭の右上に噴き出しがでて、本番をイメージしてる音です)

 僕の演目のメインは赤い薔薇。 赤を一番効果的に見せる為には、余計な所にお客様の視線を誘導しては微々たる物だが逆効 果である。 内容の無い新人一年生が足を引張らないためには、マジックそのもの以外の余分なマイナス面を排除することだ。 よし、黒の無地にしよう。 っ と、いっちょ前に考えます。
マジックの楽しみは、いたる所に潜んでいます。 こんなことを考えるのも、僕にはとても楽しいことです。

 もう一つ、このリハで自分の思いを勇気を出して表現してみました。
それは、演技終了後にご指摘を頂いた通り、「何か余計なものが追加したのでは?」と、その通り。 前回には演技に入っていなかった、鳩のポッポ君を演技の 中に取り入れてしまったのです。
(このエッセイの最初に載っている写真のことです)
色々な意見を頂きました。 総括すると、評判は最悪で、本番ではやめた方が良いというものです。 緒先輩方は大人で、優しい言葉でその意図を僕に促しま す。 それが、余計に心を凹ませて、捨て時の分からない使い古しのパンツの様に、僕の心のゴムは伸びきっていました。

 話が横道に入りそうですが、ここで、何でポッポ君をやりたかったのか少しお話します。

 僕がYMGの先輩たちの演技の中で特に好きなのは、オオニシッチとミナミッチのマジックです。
(お詫び:「オオニシッチ」も「ミナミッチ」も今始めてそう呼びました。親しみを込めて。許しておくれやす。)
なぜなら、両者の演技には物語があるからです。 優しい物腰と口調で、見る側は自然に笑顔の花を咲かせます。 僕もこんな空気が出せるマジックに憧れたか らです。

 また、今回演者としてチケットを3枚頂き、さて、誰を誘おうか悩みました。 最終的に一組の家族に渡しました。 奥様の女性は僕の高校時代の同級生で す。 YMGに入りそれが切っ掛けでmixiと言うネット上の掲示板の様なものも始めました。 家に居ながらパソコンで色々な人と文章で会話ができるもの です。
そこで偶然、その友達と再会することとなり、幾度と文章での話を積重ねて行くことなりました。 お互い山あり谷あり、それでも今はなんとか暮らしている。  彼女は今、ある病気と闘っていますが、彼女の文章からは元気と楽しさだけが伝わって来ます。 TM会の話をしたらとても興味を持たれました。 マジック を見る機会の無い人、見て欲しい人、彼女には是非とも見に来て欲しく誘いました。 快諾です。 よって今回のTM会で実際に逢うのは20年ぶりと成ること になります。

 ・・・・ポワポワポワ。

「がははははっ」と笑い、子供と旦那さんで楽しいんでいる絵が浮かびます。

 20年ぶりに見る同級生の姿がマジックデビューなんて、そうそう在るものではなく、それだけでかなり衝撃的で楽しめると思います。 どうせなら、もっと 笑ってもらいたい、楽しい思い出を作って欲しいと思いました。 友達が元気にしているとそれだけで嬉しくなります。
パンフレットの作成をちょこっと手伝わせて頂きましたが、裏にこっそり言葉を載せたのをお気づきでしょうか。  「夏の終わり、ちょっと不思議な思い出 を、そっと虫かごに入れてみませんか・・・(^_^)」
これは、彼女を誘った際の文章の断片です。 チェックでも消されず残り、僕の思い出になっています。

 さて、話を戻し、そんなポッポ君、TM会=マジックデビューの当日の朝まで遣るべきか遣らざるべきか悩ませました。

 いよいよ、本番。 一般のお客様の前で初めてマジックを披露する、デビューの日。
なんだか、思い出しただけで掌に汗がにじんできました。

その5「デビューの 日、僕が見たものは・・・。(1)」 (2009/10/26)

 この日の出来事を、その日の朝に書いた日記を見て思い出す。

ちょっと、その日の日記を転記してみます。

2009年08月23日07:37 タイトル:「デビュー当日の朝」

まだ、セミが一匹鳴いている。 
おまけにカラスも一声鳴いた。 
穏やかである。 
まるで時間が止まったような朝。 
もしかして、僕は何か悟りを開いたのか・・・・? 

嘘 

なーー訳は無く! 
胃が重い。・・・いつものことか。 
頭もぼんやり。・・・毎朝そうだ。 
うー何でもいいから弱音を吐きたい。・・・でも口に出さない。キーボードを打つだけ。 

良く見れば、「楽しむ会」・・・「楽しむ」・・・・そう、楽しもう! お客様も演者もみーんな。 

為せば成る! ファイト! 

 ふむふむ、昨日の様に思い出されます。 そう、あの日の朝はやけに澄み渡った青空が印象的でした。

「テーブルマジックを楽しむ会」
日時:2009年8月23日(日) 13:00開場 13:30開演
場所:かながわ労働プラザ3階多目的ホール

 この日の出来事は、生涯忘れないでしょう。

人に言えるような趣味の無い僕が、初めて長続きするのか、
はたまたいつもの如く挫折するのか、それは全てこの日にかかっています。
僕は思います。 皆さんがマジックを始めて一般の方に始めて見せたデビューの時を、どんな気持ちだったのでしょうか。 ガタガタ震えたのでしょうか? 逃 げ出したいと思ったのでしょうか? 無事に出来たのでしょうか? 今でも楽しくマジックをされていると言うことは、これを乗り越えた先に何があるのでしょ うか?

 やはり興味があります。 僕もその何かを見ないことには・・・、為せば成るです。

 その日の集合時間は9時。 考えてみれば会場は始めていく場所、まあ分かるだろうと石川町駅に降り立ったのが8時半。 いきなり方向が分からず黄昏てい ると、後ろから聞き覚えのある声で呼び止められました。 ぽろっくさんです。 既に緊張している僕は、ビクッとするのと同時に安堵の気持ちを持ちました。
「どうしよう、当等きてしまった。 もの凄い緊張で逃げ出したい気分だ。・・・・」、会場までの道すがら、自分の不安の思いだけを話していました。
ぽろっくさんがアドバイスをくれました。 「今日は楽しむことだよ、そうすれば演技の最中でも笑顔が出るよ」と。 勇気付けられましたが、緊張は増すばか りです。

 会場に着き、3階の多目的ホールに足を踏み入れました。 会場は想像していたよりも広く、その天井の高さが緊張感をより高いものにしていきます。 既にYMGの 半分位の方は来ていたでしょうか、皆さん微笑んでいます。 何人かの方にこの自分の気持ちを言うと、皆さん毎回緊張する様ですがまだ早いそうです。 ま た、この緊張感の楽しみ方を知っているようでした。

 僕のここでの最初の仕事はポスター貼りでした。 自分でデザインしたこのポスターですが、3案提案して皆で投票し決定したものです。 評判は上々で皆さ んに喜んで頂いたことが、僕の喜びと成っています。 

 開場は13時から、午前中は最後のリハーサルとなります。

その6「デビューの 日、僕が見たものは・・・。(2)」 (2009/11/2)

 YMGの会員以外の方にも、この「テーブルマジックを楽しむ会」がどういうものか少しご説明致します。

 会場のホールは大きな一つの空間です。 それを、つい立で4つに区切り、そう田んぼの田の字の様に。 そして、4つの テーブルを用意して、一つのテーブルに客席を25席用意しマジックを見て頂きます。
 演者も4つのグループに分かれて、一グループ4,5人の編成となり、各テーブルを回って行き演技します。
 お客様は自分の席に着くと、4つに分かれたグループが回って来ますので移動しなくても、全員のマジックが見れるという仕組みです。 演者も各テーブルを 回るので、4回自分の演技をすることになります。
 とてもいい仕組みだと思いますが、後日の反省会で音の問題など改善すべきところも在りそうです。

 テーブルマジックで2グループが終了すると休憩を挟み、残りの2グループが演技します。 そして、来て下さったお客様へ 「お土産マジック」として、各テーブルに付いたテーブルマネージャーから実演して、マジックを覚えて帰って頂きます。 お客様が家に帰ってからも、家族や 恋人に覚えたマジックを行ってもらい、マジックの余韻を楽しんで頂こうというYMGの思いです。
 休憩を挟み、ここで椅子を移動しステージでのサロンマジックを最後に見て頂きます。

 つい最近までずぶの素人の私ですが、今でもそうですが、何気ない言葉の意味が分かりません。
 分かる人には分かるのでしょうが、僕の様な分からない人には全く分かりません。

 マジックにも種類が有りまして、目の前で行うものを「テーブルマジック」と言い、「クロースアップマジック」という言い方もしますが、この方が聞いたこ とがあるのではと思います。 次に、もう少し広いスペースでちょっと離れて見るのが「サロンマジック」というものです。 そして、もっともっと広い空間で 行うマジックを「ステージマジック」というそうです。 YMGの2月に行う発表会は、このステージマジックでして、必然的に演ずるマジックの内容も変わっ ていきます。

 今この文章を見られている方、マジックを直接見たことの無い方、是非、来年はおこしやす。(^_^)
 ついでに、マジックが好きだけど、やってみたいけど、切っ掛けが無い方、どうしてよいのやら分からない方、一度YMGを覗いて見て下さいませ。 こんな 僕ですが、なんとか成ってます。 楽しんでますよ。

 さて、最後のリハーサルはグループごとの最 終チェック。
本番を想定したこの最終リハで、僕は大失敗をしました。
 ちょびっとお話しすると、僕の最初の演技は、サインして頂いたカードが最終的にガラスの額の中から出てくると言う物です。 そのリハで、高々と上げた右 手の先のガラスの額を見て、その中にあるカードを二度見して、ここぞとばかりに「お〜〜〜、こんなところに!!」っと驚いて見せるのです。 既に何度も練 習して来ました。 ただ、この本番直前の最後のリハでそれは起きました。 そのガラスの額の中から現れたカードを見て、僕のセリフが変わりました。

 「お〜〜〜〜、なんだこのカードは、初めて見ます!!」

 声の大きさは今までで一番大きかったと思います。 そうなのです、カードにサインなどありません、全く見覚えの無いカー ドです。 誰よりも僕が一番びっくりしました。 「なんだ?このカードは!」とセリフは続きます。 僕は固まりました、石になりました。 「ヒュ〜〜〜」 と言う風が吹き、「ぽ〜〜〜」と言う汽笛の音が微かに聞こえ、明かりの無い真っ暗な世界にタイムスリップしました。 真っ暗な世界で膝を抱えていると、ま た微かな囁きが聞こえて来ます。

 「はい、本番だと思ってそのまま続けて。 失敗したときの対処もリハーサル。」

 と、リーダーのやまじさんの声。 この声で、再び会場の3階多目的ホールに意識が返って来ることが出来た僕は、演技を続 行しました。 これを機に、なんだか吹っ切れました。 と言うより、やけくそと言うのか、矢でも鉄砲でもという気持ちです。 ヘラヘラと笑いが込み上げて 来ましたが、見ている皆さんは、クスリとも笑いません。 この時ばかりは怖かったな〜。 またタイムスリップしたかったのを良く覚えています。
 でも、本番でなくて僕は良かった。 神は見捨てていない。 僕はまだついている。 お〜〜神様!

 そんなこんなで自分のリハは終え、緊張感はどこ吹く風で、サロンマジックを見ては音楽に合わせて、ばーのんさんとステップを踏む始末。 でも、じっとし ていられなかったのが本当で、掌の汗が止まることはありませんでした。
 全てのリハが終わり昼食です。 喉も通らないはずなのに、用意されたお弁当を綺麗に完食。
 美味しかったです。 一体、ヘラヘラしたり汗かいたり、どっちなんだよと自分でも分からなかったのですが、どうやら壊れてきていたようです。

その7「デビューの 日、僕が見たものは・・・。(3)」 (2009/11/16)

 13時、開場。
ホールの中で列を作り、来て頂いたお客様にお辞儀でごあいさつ。 また緊張感が寄りそって来た。
家族会として位置付けてきたこの「テーブルマジックを楽しむ会」は、今年からその殻を破り、発表の場としての位置付けも加わり、一般の方、マジック関係者 も見て頂くこととなった。
 隣にいたばーのんさんから来客者の説明をひそひそと教えて頂いた。
理由はこうだ、演技の際に前に出てお手伝いして頂くお客様に、間違ってもプロの方を指名しない為である。 ど素人の僕には絶対必要なアドバイスである。  ありがとう、ばーのんさん。

 僕の招待した友達も家族で現れた。 微笑んでいた。 この微笑で少しは緊張も和らぎ、どうせ見せるならカッコいい所を見せたいと思うのである。 4回マ ジックを演技をするのだが、一番慣れて来ているであろう僕が最後に演技する4回目のテーブルに案内した。 全てが揃い、後は演技をするだけである。

 せっちゃんさんの最初の挨拶と説明も終わり、いざ本番である。

 マジックの演技自体を言葉で表現するのは難しい。
きっと言葉で表現できないもので、その言葉に意味を成さないのだろうと思う。
雰囲気を伝えたいと思う。

1回目の演技
 掌には緊張で滝のような汗である。
はとのぽっぽ君を紹介し、演技に入る。
失敗しないようにと、心の中で思う。
それでも演技をしていると、笑ってくれているお客さんの顔をはっきり見ることができた。
その笑顔がとても嬉しかった。
なんとか終えた。 真っ白でよく覚えていない。

 演技を終えて、次の演技までの間、他の人の演技を見る余裕も無く、振り返り反省する。
 あれも忘れている。 これもやらなかった。 次は忘れないようにしようなどなど。

2回目の演技
 この席にはマジック関係者がやたら多いい。 緊張も増す。
なんだか、やたら難しい顔をしているお客さんが多かった様に記憶しているが、その分自分がヘラヘラしだした。 いい具合に自分が壊れて来ている。
演技を始める。 今度は少しはお客様を見渡せた。 笑っている。 それを見て自分も笑う。
 僕の演技は3つのマジックを行うが、最初の演技の山場。 数時間前に大失敗したその場面・・・決めた!
 へたくそなりに、自分ではそう思っている。 今度は驚いているお客さんの顔を見て取れた。
 どんなもんだいと、笑いが込み上げる。 吊られてお客さんも笑ってくれた。
・・・なんだこの感覚は? 初めて経験する感覚である。

 演技を終えて、全体の休憩時間となる。
気が付けば、喉はカラカラである。 緊張するのは分かっていたので、今日はハンカチを3枚用意して来た。既に2枚のハンカチは、掌にかいた汗を拭うのでび しょびしょである。 控え室に最後のハンカチを取りに行く。 そこで独り、「ふっふっふ・・・。 (にや〜〜〜)」とする。
なぜ皆がマジックにはまっているのか、その理由を少し垣間見た気がしたからだ。

 休憩も終わり多目的ホールに戻り、次の演技を待つ間、独りのお客様が近づいてきた。
隣にいた、やまじさんから誰なのか説明を受けた。 日本奇術家協会の会長であるという。
 ど素人のへなちょこマジックに対して、えらく褒めてくれた。 オリジナルのマジックを行ったことで、当然初めて見るマジックとなり、どうやらそこを評価 して頂いた。 分からなかったよ、とも言って下さり、その言葉の意味を、やまじさんから説明を受け、僕は嬉しさで一杯になりました。
 実を言うと、マジックを始めたばかりの僕は、この協会のことも、その会長のことも良く知らない。(すいません) とにかく褒められることは嬉しい訳で、 こんな時の僕は成長する。 本当は図に乗る。

 人とは不思議なもので、図に乗ると変な勇気が沸いてくるものだとかねがね思う。

3回目の演技
 この席では、記録用のビデオ撮影をしているテーブルである。
後日、例会でビデオを観る会と称してこの日のビデオを皆で観て、楽しみ反省するのである。
 先日このビデオを僕は観た。 自分が図に乗った姿を生まれて始めて観て、人一倍反省した。
どうやら自分の言うセリフはその都度違っている。 口数が多くなって来ているのに気が付く。
 演技をしていて、少し楽しんでいる自分に気が付いたのが、ちょうどこの頃である。 楽しい。
前夜、考え出した最後の決めポーズもさまに成って来たのではと、今度はうぬぼれ出す。

4回目の演技、最後のテーブルだ。
 この席には、僕の招待した友達が見ている。 当然意識する。
ここでのパフォーマンスは、
(演技と言っていたのが、パフォーマンスに変わってしまった。うぬぼれが勘違いに進化した瞬間である。)
今日、一番のPerformanceであった。(こんどは英語になった。 進化が止まらない。 止めてくれ。)
後日、その友達の日記でその日のことを書いてくれた。 大変喜んでくれていたので、一つの目的は達成できたと思う。

デビューの日、僕が観たものは・・・・
それはきっと、一つの優しさの形だったのではないかと思う。
優しい気持ちに成れるからこそ、笑顔が生まれ、
優しい気持ちだからこそ、純粋にマジックを見て驚き、また楽しめる。
演ずる側も、観る側も、このホールの中で同じ時間を少し過ごした。
そこには、優しいに溢れた世界があり、沢山の笑顔を見ることが出来ました。

改めて、足を運んで来て頂きました皆様方に感謝を込めてお礼申し上げます。
ありがとう御座いました。 m(__)m

あとがき

 今回の会は、演者だけで成り立っているものではありません。 会場予約、受付、音響、ビデオ記録、会計から休憩の準備、お弁当、それはそれは色々な作業 があり、それを会員の全てで分担し、自分で出来ることを率先し行って形となったものです。 皆様、お疲れ様でした。

 もしもマジックを切っ掛けにYMGに興味をお持ちになられた方がいらっしゃいましたら、新人の僕がおこがましいのですが、伝えたいことがあります。
それは、マジックを取り巻く全てに対しても同時に興味を持ち好きに成って頂きたいと言うことです。
 今回、終わってみて気づいたことですが、あえて演者から裏方に回った諸先輩達、仕事が忙しく中々例会に参加できないけど、一生懸命に裏方を行っていた新 人さん。 皆、輝いて見えました。

 どうやら僕の見つけた趣味は、長〜い付き合いになりそうです。(^_^)


 


その8 「YMG 第47回発表会を終えて、新人の感想(1)」 (2010/3/8)

 まず最初に、ご来場頂きました皆様に心よりお礼申し上げます。
当日はまた寒さが戻り寒い中、足を運んで頂きまして、開場を待たれ並んで頂いた方は、 足元寒くはありませんでしたでしょうか? そんなこともあり開場時刻を早めましたが、どうだったのか気になります。

  なにぶん主催者側の私どもは、会場へは朝一で乗り込み何時にない熱気で熱くなっていました。
特に新人の私などは、始めてステージに立ち人前でスポットライトを浴びるなど、まさか自分の人生でこの様な日が訪れるとは思ってもいなく、表面では冷静を 装っていましたが内心は異常な興奮状態で、口数も多くなっていたようです。

 そうですね、まるでアカデミー賞かグラミー賞を受賞してしまった気分だったのでしょうか? 勘違いも特大級です。
 ちなみに、2010年でアカデミー賞が第82回で到底及びません。 但しです、気が付いてしまいました。
グラミー賞は2010年でなんと第52回になります。 YMGの歴史と同じで肩を並べているでは在りませんか。
発表会は47回ですが何時しか抜くことでしょう?(細かいことは気にしないで下さい。気持ちです。)
さすれば、この勘違いも距離はひとまず置いといて、方向は合っているのではと更なる勘違いに自信が持てます。

 それでは、僕にとっての発表会を振り返ってみたいと思います。

今回の発表会のステージに立てて、丁度YMGでの一年間の行事を全て経験したことになります。
一年前に親友の誘いで、軽い気持ちでYMGに入会したのがそもそもの始まりです。
それまでYMGを知らなかった僕は入ってびっくり、随分と場違いな所に入ってしまったのではないかと緊張していたことを、今では懐かしく思えます。

 夜な夜な、全く繋がりの分からぬ老若男女が一箇所に集い、マジックの会合を開く。 とても怪しく思え映りました。
 その怪しさが、とても興味をそそられ更に好奇心をかき立てられたものです。
 一年を過ぎ、自分も怪しさが出てきたのでしょうか?

 一年を通してこの発表会がYMGの最大のイベントとなります。
その間、マジックの合宿。 ビギナーズコース。 夏のテーブルマジックを楽しむ会、特別講師による講習などのイベントがあり、それを月2回の例会を通して マジック三昧の一年を過ごすことが出来ました。
自分にとっては、毎回例会後に行われる有志が集まり開かれるYMGの二次会的存在「ひろせい会」で、呑みながらマジック談義をするのがとても楽しく続けら れた要因の一つだと思います。

 マジックの内容については、へなちょこ新人としては全て学ぶ物ばかりでコメントできませんので、ちょっと違った角度から一番一般のお客様の立場に近い者 としての意見としてお聞き下さい。

 発表会のリハーサルが始まる頃から、私事ですが仕事が忙しくなり、リハや例会に参加することが一番苦労したところです。
 アマチュア社会人クラブに参加して活動する上での一番心配していた所でもあります。

 そんな中でも、「今度の木曜日はYMGの例会があるので、その日は早く帰れるように」と今迄以上に仕事に集中していた自分がいました。 思わぬ効果で す。 月に2回の例会と言うのが自分にとっては丁度よいピッチな様な気がします。
 三週間も間が開いてしまうと、これが寂しくなって来るのです。 一週間だと楽し過ぎて、仕事中もにやけてしまいます。

 次回は、発表会の裏話と言うか、こんなこともたまには話しに出てもいいのかなと思うところを紹介します。


その9 「YMG 第47回発表会を終えて、新人の感想(2)」 (2010/3/15)

 まずは、発表会の日が2月14日のバレンタインデーの日になったお話。

 セントバレンタインデーは、2月14日に世界各地で男女の愛の誓いの日とされています。♡
そうです、この日に発表会をすると言うことは来客者を含め全ての参加者の人にさり気なく愛が注がれていたと言う、これまた心憎いまでの演出だったのです よ。 僕が発表会で唯一貢献できたとするならば、このことです。 てへっ(*^_^*)

 発表会と言うのは、マジックの練習ばかりでなく色々な作業があり、その一つ一つの積重ねた結果としての作品です。
 演者はもとより裏方に徹して下さった方や、その作業は本当に多岐に渡り勉強になり良い体験をさせて頂きました。
 そんな作業の一つに、今回の会場である磯子公会堂の会場を確保するための抽選会と言うのがあります。
この抽選会のくじに当らないと、当るまで毎週誰かが通って抽選をすることになります。
 ちょうど夏休みの時期であったので僕は手を挙げその抽選会に参加しました。
言ってみればYMGの代表としてくじを引くのですから責任は重大です。

 少し自信がありました。と言うのも、その何ヶ月前にコンビニでJRのスイカのキャンペーンでくじを引いたことがあります。
 みごと、一等のペンギンの壁掛け時計をゲットした実績が僕にはあったからです。
過去には自販機でジュースを2回続けて当てた経験もあります。 (僕の自慢はこの程度のものですがすごくね?)

 いざ磯子公会堂へ、一番乗りでした。磯子公会堂
くじの引き方、心得など事前にメーリングリストで情報は頂いており準備万端です。
前の週には僕の同期の山ピーがくじを引き見事破れてしまい、とても恐縮しておりましたので、ここは一発あだ討ちの気持ちもあり自然と力もはいります。
 少しすると、鳥海会長が心配してくれて現れました。毎回心配してくれて、抽選会場に現れて下さっていたそうです。
 とても優しい気の利いた素晴らしい会長です。
(抽選が当らないのは運の無い誰かが毎回いるからではと言う噂があったとかなかたとか...忘れましょう m(__)m )

今回、くじを引くのは自分を含めて6組でした。 ○○音楽教室、○○女子大学吹奏学部、などなど僕以外は全て女性でした。

 くじは、鉛筆を引いて最初にくじを引く順番を決めます。次にその順番でまた鉛筆を引き1番が出たら見事当選となります。
 抽選が始まるまでの間、会長に相談したことがあります。
最初に鉛筆を引く時に、密かにマーキングをして次にそのマーキングした鉛筆を引く手はどうでしょうか?
などと悪巧みを話していたのですが、最初と後の鉛筆を変えるそうで、その手は使えないとのことです。
会長も以前、フォースが使えないかと研究したそうです。考えることは一緒なようです。

 時間になり、一番乗りした僕は最初に鉛筆くじを引きました。
そっとその先っちょに書かれている番号をみると、・・・・6組中、6番目の6の数字。  やってもうた〜。
その時です、肩越しから聞こえたあの懐かしいセリフ。
 幼少のころ「8時だよ全員集合」でいかりや長介が言っていたあのセリフ。

 「だめだ、こりゃ!」

 そう、会長がぼそっと言った、「だめだ、こりゃ!」...真夏だというのに心には秋風が吹き、どの角度から会長を見ても、
いかりや長介さんにしか見えません。  笑いが込み上げ、二人でゲラゲラ噴出しました。
来ていた他の組の女性たちも、声には出さず目で笑っていました。

 気持ちを取り直して、さあ頑張るぞと言っても、本番のくじでは引くことはできません。 6番目の最後なので最後の残りものということです。 他の人たち の引くのをじっと見ているしかありませんでした。
一人二人と外して、そろそろかと思いきや三人四人目と外しました。 ここで会長と目を合わせ「まさかね〜」とアイコンタクトを取ったと同時位に、5人目が 引いたくじを見せました。 奇跡は起こりました。 外したのです。 僕らの当選です。
2月14日の会場は、唯一、男の僕に愛の神様は微笑んでくれたのです。
 こうなると、笑いが止まりません。 
この時でしょうか、会長との距離が急に近くなり、気持ちの良くなった会長が今度おごると言って下さったのは?
 呑み放題の発表会の二次会で、遠慮するな今日はどんどん呑め、約束だと覚えていて下さいました。
やっぱ、約束を守る律義で素晴らしい会長です。  いっぱい呑ませて頂きました、ありがとうございます。

 この夏の日の出来事が、発表会のスタートで、とても楽しい思い出として残っています。

 何やら書き始めると、色々なことが思い出され、鮮明に思い出されます。
発表会の話は? マジックの話は? どうしたと思われるかもしれませんが、まあ良いじゃないですか...

その10 「YMG 第47回発表会を終えて、新人の感想(3)」 (2010/3/29)

 次にあったのが〜、発表会のオーデションですかね。 ではこの話し。

 発表会のオーデションと言うのは、今回の発表会に演者として参加を表明した方々が、演目は何か、どのような道具を使うかなど、構想を発表して行くもので す。まだ具体的に内容が決まってない人もいますし、最初にこれをやりたいと宣言しこれから練習してゆく方など、さまざまです。
 本当に最初のスタートで、この時の光景を思い出すと発表会当日の皆さんは別人だと思います。
伸び幅と言う視点で見れば、かなりのものだと思いますし、もしかして達成感につながるのかもしれません。反省するところは多々あり、真摯に受け止めるのは 言うまでもないのですが、ここでまた勘違いするならば、こんなに反省の山で、一つ一つクリアして行くとすれば、これからどんだけ自分が伸びてしまうのかと 恐ろしいくらいと思えないこともないのかな? と・・・・
 へなちょこ新人はまだまだ分かっていない気がします。

金原 そんなオーデションの中、最初からやる気満々で突っ走っていたのが、金パパさんではなかったのではないでしょうか。(これまた本人にはそう呼んだことが無いのですが、皆の真似してそう呼ばせてもらいます。)
 オーデションの当日、皆さんの話をじっと聞いていました。 何かの拍子にふと後ろを振り返ることがあり、その視線の先に何やらカラフルな大きなものが目 に入りました。 それは背筋を伸ばしじっと動かず、これでもかという位の真剣な表情をした金パパさんでした。 窓辺の椅子に腰掛け、じっと窓の外を見つめ るその姿を見て、腰が抜けて立てなかった程です。
 マンガの星飛雄馬いらい始めて、瞳に炎を灯している人をこの時初めて見ました。 すこし笑っちゃったけど素敵です。
 新人の僕は、マジックに対する姿勢というか真剣さというか、学ぶべきものは多いいと考えさせられました。
 あの時に話して下さった、ネットでとうとう買ってしまいましたと、少し照れながら話していたあの時の笑顔が一番好きです。
 本番は音響係で舞台袖にいたので分かりませんが、あの笑顔を出せたのでしょうか?

 今、気が付きました。 なぜ、本番の時の演目が頭に浮ばず以前の話を思い浮かべてしまうのか。僕は、舞台袖にいて直接は見れていないのでした。 どうりで。

(続く)


その11 「YMG 第47回発表会を終えて、新人の感想(4)」 (2010/4/19)

 自分の演目についての話。

 新人の演目は、「ビギナーズコース」というものでした。
はたして、どうだったんですかね〜?
ゆっくりやることだけを心がけ、なんとか最後まで立っていられたことで、善とします。
いや、上出来だったかも?
待てよ、もしかして最高かも?
ひょっとして、才能があるのかも・・・・などと言えるのは、終わった今だから言えるのでしょうね。
内心、ビビッていました。 内緒ですが。

 今回の新人の演目は、諸先輩方の助けのもと、おんぶにだっこで思いっきり甘えてしまいました。
皆さん、ありがとうございました。 花の2009年組は立派に成長しております。
何時の日かこの思いを、後輩が出来た時に同じように感じて貰える様に返して行きたいと思う所存です。

 台本を書いて下さった、須藤さん。 ありがとうございました。 新人一同感謝しております。
アドバイスを下さった、みなみっち。 ポイントを突いたアドバイスのお陰で変れました。 ありがとうございました。
演技指導をして頂きました、三好さん。 姿勢を伸ばし、卵を一つ脇に挟んだくらいで、手は少し下げと・・・覚えてますね〜。
本番で出来たかどうかは別にして、ありがとうございました。
そして、特にお礼をしたいのが、先生役を引き受けて下さいました、新人の希望の星。
我らのチダーマン。 (勢いでそう呼んでみました。)

 チダーマンとは夏の発表会の時も順番が隣で色々と話をして下さり、いつもリラックスさせて頂きました。
今回もリハでは近くの席で色々と話をさせて頂きとても楽しく本番を迎えられました。
今回は、自分の独り立ちの演目もある中、新人に付き合って下さりとても感謝しております。
新人の僕らにとって、オーデションで四つ玉をやると決めてから練習を重ね本番を迎えたその姿は、とても参考に成り、気持ちの上でも影響を受けざるを得ない内容で、それ故、新人の希望の星なのです。 素敵です。

 さてさて、あちこちに話が飛び、思いつくまま書き綴っていて、どう終わらせて良いものやら・・・
やはり、話好きなようでして・・・どうしよう???

(続く)

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